令和8年度入学式 式辞

  桜の花びらが春風に舞い、木々の柔らかな芽吹きがこの笠間の地を美しく彩る、希望に満ちた季節が巡ってまいりました。本日ここに、多くのご来賓の皆様のご臨席を賜り、茨城県立IT未来高等学校の入学式を挙行できますことは、教職員一同大きな喜びであり、深く感謝申し上げます。

 ただいま、入学を許可された55名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。 皆さんは、ご家族をはじめ、これまでご指導いただいた皆様の支えがあって、今日という日を迎えられました。本日から始まる高校生活の第一歩を、感謝の気持ちとともに、未来への希望と期待を胸に、力強く踏み出してください。また、お子様の成長を支えてこられ た保護者の皆様に、心からお祝いを申し上げます。

 本校は「豊かな人間性と起業家精神を兼ね備えた、次世代を担うIT人財とリーダを育成する」ことを教育目標として、令和5年に開校いたしました。 皆さんは、第4期生としてこの学校の門を叩きました。これまでの三年間、1期生から3期生の先輩方は、何もないところから道を切り拓き、様々な課題に挑戦してきました。そして、全国のコンテスト等で優秀な成績を残してきました。先輩たちが証明したのは、ITの力を使えば世界を驚かせることができる!という事実です。今日から皆さんも、その輝かしい物語を共に創り上げる仲間となります。

 今、私たちは生成AIの劇的な進化など、明日は何が起こるか分からない予測困難な時代の中にいます。IT人材の不足が叫ばれる中、技術の習得はますます重要になります。しかし、この変化に主体的に関わり、社会課題を解決していくために必要なのは、技術だけではありません。こうした新しい世界を切り拓く力を付けるために、私は皆さんに二つのメッセージを送ります。

 第一に、多様性を含め、自分自身と、隣にいる仲間を尊重し、認め合える心を育ててほしい、ということです。

 世界的な変化や危機が続く今だからこそ、この尊重の重要性が際立っています。人は一人では生きていけません。そして、人と人との良好な関係は、相手と自分自身を尊重することにより築かれます。 他人を思いやる心や感謝し合える心は、結果として自分を信じる力をより強固なものにしてくれます。さらに、互いに尊重し合える集団の中では、新しいことへ挑戦する気持ちや勇気も生まれます。この55名という、県内外各地の36中学校から集まったかけがいのない仲間同士、他人と自分自身を大切にする心を持ち続けてください。

 第二に、高い志・目標を持って自らの可能性に挑戦し、自分自身を創造してほしいということです。  

 かつてない大きな変化に向き合っている今こそ、絶えず挑戦することが必要となっています。ITの分野には、まだ誰も解き明かしていない「正解のない問い」が無限に広がっています。そうした問いに、積極的に取り組んでください。 挑戦の過程には、時に挫折や遠回りをすることもあるでしょう。しかし、その苦い経験さえも、いずれは青春の輝きへと変わります。本校で身につける知識や経験は、皆さんの人生に彩りを与え、その取り組みの過程そのものが人間力の向上という一生の財産になるのです。

 しかし、高い志を掲げて進む中で、ふと不安になることもあるかもしれません。そんな時、世界的なITの先駆者であるApple社の共同創業者でもあり、CEOを務めたスティーブ・ジョブズが残した「点と点を繋ぐ」という言葉を思い出してください。

 今は何のためにこれを学んでいるのか?この努力に意味があるのか?と迷う日があるでしょう。しかし、学校に来て、授業を受け、仲間と話し、時には失敗して落ち込む。その経験の一つひとつが、将来の自分を形作る大切な「点」になります。 今はただバラバラに打たれた点にしか見えなくても、数年後、皆さんが社会に出たとき、それらは必ず一本の輝く線として繋がります。

 大切なのは、未来で素晴らしい線を描くために、今、この場所で、自分という点を打ち続ける勇気を持つことです。目の前のことに誠実に向き合うことが、必ず未来の皆さんを支える大きな力になります。

 新入生の皆さんは一人ひとりが代わりのいない大切な主役です。同級生を尊重し、学び合う姿勢を持ち、さらには地域の方々との交流を通して、新たな人間関係を広げていってください。

 皆さんの高校生活には、多くの学びが待っています。壁にぶつかった時は、周りにいる先生方を頼ってください。本校の教職員は、皆さんの夢を全力で応援し、とことん付き合う情熱を持った方ばかりです。先生方を信じ、勇気をもって一歩を踏み出してください。

 保護者の皆様、只今申し上げました教育方針のもと、教職員一同、全力でお子様の教育にあたってまいります。学校、地域、家庭が共に連携し、お子様の成長を支えていけるよう、特段のご支援とご協力をお願い申し上げます。

 結びに、本日ご臨席を賜りました皆様に改めて厚く御礼申し上げます。 新入生の皆さん。皆さんとともに、IT未来高等学校の新たな一ページを創造していくことを、私は心から楽しみにしています。皆さんの毎日が喜びにあふれ、楽しく充実した高校生活となることを期待し、式辞といたします。

 

                                        令和8年4月7日

                                        茨城県立IT未来高等学校長 

                                        辻 武伺